2008.5.18
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7(By kagura)
「やっぱり、外はいいな」
呉葉が笑う。残虐性を隠そうとしない、暗い瞳で。思わず、一歩後退した葵は事態を把握しようと必死だった。何故、目の前で苦しそうに喘いでいた少年が急に、笑みを浮かべて自分の前に立っているかを。
葵はすぐにわかりそうに無い事を悟ったのか、自らの能力を発動すべく相手の目を見据え、意識を集中させる。
『心眼(シークアイ)』
心の中で、静かに呟く。ノイズ交じりに聞こえていた音(こえ)が鮮明に聞こえ始める。
『グレイ、どうするつもりなんだ!?』
『うるさい、お前の知った事じゃないだろ』
(彼の中に二つの声が聞こえる。もしかして、二重人格?)
葵がそう考えていたときだった。緩慢な動作で呉葉、いやグレイは視線を葵の方にやる。葵は、びくりと肩を震わせるが、能力の発動は続けていた。
『とりあえず、こいつを叩きのめすかな』
いやな笑い声が彼の心に木霊している。選択を間違えれば、戦闘になりかねない状況。葵は打開策を考えようと必死だった。
「なんだ、オマエ。黙り込んじゃって。もしかして、ビビッてんの?」
『ああ、早く戦りたい!』
『やめろ、グレイ』
狂喜する声と非難する声。葵はそれらを受け止め、口を開いた。
「僕は、貴方と戦う理由がありません。それに貴方の半身も同じ気持ちではないですか?」
唐突な言葉に見えた。心を読んででもいなければ。グレイから、笑みが削げ落ちる。無表情な顔は恐怖を駆り立てられるが、葵は耐えた。見つめ返す。
「オマエ、何故俺の思考を読んだ」
「えっとっ……」
「大方、能力って事だろ? そういうことなら、オレには無意味だぜ」
『能力無効化(リターン・トゥ・ゼロ)』
グレイがそう言うのを聞くのが最後となり、声は途絶えた。悪い方へ悪い方へと転がっていく、この状況を彼は楽しんでいた。口元に笑みが零れる。グレイがこちらに跳躍してくるのを、葵は静かに見ていた。
繰り出される横腹を狙った蹴りを避ける事無く、いなす事無く葵は受け止めた。その反動で体は宙を舞い、地面に叩き落される。嫌な音が響いた。
グレイは眉間を険しく寄せ、怒りのままに言葉を放つ。
「何で避けねーんだよ!!」
「避ければ、貴方が怪我をしてしまうでしょう?」
げほげほ、と咽ながら苦しそうに言葉を紡ぐ。そんな葵を見て、今まで経験したことの無い事態にグレイは混乱していた。
(何故?命乞いをしない?ひれ伏さない?どうして?)
今まで、オレが手に掛けてきた奴らは恐怖の表情を浮かべて、やめてくれと叫んでいたのに。こいつは、どうして?
(オレの為に……?)
浅はかな自分に羞恥を感じ、頬に朱が走る。それを誤魔化す為か、グレイは葵から視線を外す。
「ッチ、興が冷めた!」
グレイが走り去っていく音が遠ざかっていくのを聞いて葵は安堵した。
(よかった。今日も、誰も傷つけずに済んだ……)
霞んでいく意識に身を任せ、葵は静かに目を閉じた。
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プロフィール
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Mao & 神楽椿
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女性
自己紹介:
(Mao) このリレー小説のいいだしっぺ。大まかな世界観を担当しました。それ以外では影のような存在です(笑)。文章の方は幾分拙いですが、よろしくお願いします。
(神楽椿) 提案に乗っかる形でリレー小説に参加。世界観を考えてくれるような素晴らしい相棒と共に執筆を頑張る所存でございます。どうぞ、生暖かい眼で見守ってやってください。
(神楽椿) 提案に乗っかる形でリレー小説に参加。世界観を考えてくれるような素晴らしい相棒と共に執筆を頑張る所存でございます。どうぞ、生暖かい眼で見守ってやってください。
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